築地市場にあるイタリアンレストランの厨房に立ち、ピザを焼き続ける看板娘がいます。彼女は、大正生まれの91歳・土井スズ子さん。大使館のハウスキーパーや婦人服の仕立て屋など様々な職歴を経て、現在は娘さんが経営する「築地魚河岸トミーナ」で働くピザ職人です。
彼女は毎朝家事をこなし、その後昼から築地へ出勤するという生活を送っています。日ごとの仕入れ内容で決まるお手製のピザにファンは多く、箱根から通っているご夫婦もいるといいます。
娘さんの誘いで70歳を過ぎてからお店を手伝い始めた土井さん。独学でピザを焼き始めたのは、75歳の頃でした。その頃趣味としていた世界旅行で巡った国は、100ヶ国以上。ヨーロッパでは、ピザ焼きの特訓のため、何店舗も飛び込みでピザを焼かせてもらったと語ります。
そんな好奇心旺盛な土井さんに長く働く秘訣を聞くと、返ってきたのは「働くことは”生きがい”なんて大げさなことじゃない」という謙虚な言葉と、少女のような屈託のない笑顔。「働くのがつらいと思ったことは一度もない」と語る彼女にとって、働くことはごく当たり前。特別に思わないことが、長く働き続ける秘訣なのかもしれません。