「紙芝居」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。「桃太郎」などの昔話、子どもの頃に見た淡い記憶、読み聞かせのおじさん……。
「紙芝居=古い、懐かしい」というイメージを払拭して、紙芝居師という職業を子どもたちの憧れの職業にしたい、日本独自の伝統文化である紙芝居を多くの世代に伝えていきたい——そんな思いを抱いて、鎌倉を拠点に全国各地を飛び回る紙芝居師がいます。
「なっちゃん」のあだ名で各地の子どもたちから親しまれている中谷奈津子さん。彼女は、アナウンサー、役者、タレントなど、これまでも一貫して「伝えること」を生業としてきました。そして、「これは一生続けていきたい、人生の集大成だ」と思って選んだのが、紙芝居師という全国でも珍しい職業でした。
彼女が紙芝居で伝えるのは、全国津々浦々ご当地に伝わる物語や伝説。すべて手書きで紙芝居にし、出来上がった20枚程度の動かない画に、なっちゃんの声や動きで命を吹き込んでいきます。観客を巻き込んで一体感を作り上げるパワフルなパフォーマンスに、大人も子どもも関係なく誰もがなっちゃんの世界に引き込まれるはず。
「子どもは嘘をつかない。つまらなかったらつまらないって言うから、私にとっては紙芝居の師匠なんです」と、子どもたちへの思いを語る彼女。好きなものに囲まれて遊び心を忘れずに生きることが、なっちゃんのように無邪気な笑顔でい続けられる秘訣のようです。

 

撮影協力:HOUSE YUIGAHAMA